乳腺科
マンモグラフィ検査
マンモグラフィとは乳房専用のレントゲン撮影のことです。
乳房を片方ずつ挟んで圧迫しながら撮影します。乳房を圧迫して薄く広げることで、少ない放射線量で鮮明な画像を得ることができます。通常は全部で4枚撮影しますが(市民検診の場合50歳以上は2枚)、必要により追加撮影をする場合もあります。検査時間は約15分です。
*注意事項(以下に該当する方はお申し出ください)
・妊娠中、授乳中、または妊娠の可能性がある方
・豊胸術をしている方
・心臓ペースメーカーを装着している方
・脳室-腹腔内(V-P)シャントを入れている方
・前胸部にCVポートを入れている方
超音波検査(エコー検査)
服を脱いでベッドの上に仰向きになり、検査する側の腕を頭側に挙げた状態で行います。画面を見やすくするために部屋を暗くします。乳房にゼリーを塗ってプローブをあて乳房全体を観察していきます。痛みなど体への負担はほとんどありません。検査時間は約15分です。
マンモグラフィとエコーの特性
マンモグラフィー | エコー | |
---|---|---|
長所 | ・乳房全体を1枚の画像に写し出すため、乳房全体の状態が把握できる。 ・触診やエコーで見つけにくい乳がんでも、細かい石灰化や乳腺の歪みとして発見することができる。 | ・妊娠中や授乳中の方も検査が可能である。 ・小さなしこりの有無・性状把握に優れている。 |
短所 | ・乳腺量が多い場合、しこりの検出が難しいことがある。注1) ・乳房を圧迫して撮影するため痛みを伴うことがある。注2) ・X線検査のため多少の放射線被曝を伴う。注3) | ・細かい石灰化の有無・性状・範囲は確認しにくい。 |
注1) X線の特性で乳腺としこりは両方とも白く写ります。よって、乳腺量が多い場合(高濃度乳腺)、白い乳腺の中にしこりが隠れてしまい検出するのが難しいことがあります。
注2) 痛みには個人差がありますが、体の緊張を解いて力を抜くことで痛みが軽減される場合もありますので、リラックスして検査を受けましょう。また、生理が始まって3日~1週間後の乳房の張りがなくなり柔らかくなった頃が検査に適しています。
注3) 1回の撮影で受ける放射線量は東京~ニューヨーク間を飛行機で移動するときに浴びる自然放射線量の約半分でごく微量です。また、乳房だけの部分的なもので健康に重大な影響を及ぼすことはないと言われています。
実際の画像です。左図がマンモグラフィ(MMG)、右図がエコーです。
MMGでは乳腺は白く、脂肪は黒く写ります。
また、エコーも乳腺は白く、脂肪は黒く映ります。
一般的に加齢とともに乳腺量は減り、脂肪の占める割合が高くなります。
1)高濃度乳腺
乳腺の割合が多いため、MMGでは全体的に白っぽく写ります。
エコーでは白と黒が混ざり合った像に映ります。
2)脂肪性乳腺
乳腺の割合が少ないと、MMGでは白い部分が少なくなり全体的に黒っぽく写ります。
エコーでも黒い部分が多くなります。
3)腫瘤(しこり)
赤丸の部分がしこりです。しこりはMMGでは白く、エコーでは黒く見えます。
MMGの高濃度乳腺では、しこりは判りづらいですが、脂肪性乳腺では比較的判りやすいです。エコーではしこりの指摘は容易です。
4)石灰化
上図2つの画像は、同じ人のMMGとエコー画像です。
MMGでは石灰化の指摘は容易ですが、エコーでは難しいことがあります。
MMGとエコーの2つの検査を受けることにより、多くの情報を得ることができます。
乳腺の検査は、これらを組み合わせて行うことをお勧めします。